


2013年3月に中国で発生した黄砂が北京周辺に分布している様子及び黄砂が朝鮮半島南を通過し、西日本に到達した様子を、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)に搭載された雲・エアロソルセンサ(CAI)が観測しました。
図1 CAIの観測範囲。2つの黒四角は図2及び図3の画像の範囲を示します。
図2 (左)2013年2月22日、(右)2013年3月9日の中国東部のGOSAT CAI画像。(画像クリックで拡大)
北京から河北省、山西省にかけては2月22日の時点では黄砂はあまり発生していませんでしたが、3月9日には広い範囲が黄砂(画像中で黄色~黄緑色に表示されている部分)に覆われました。また渤海上空に黄砂が流れ出ている様子も見られます。
図3 2013年3月10日の朝鮮半島~西日本のGOSAT CAI画像。
3月10日には中国から来た黄砂(雲が薄黄色に表示されている部分及びその周辺の海域)が済州島の南沖から東北東方向に広がり、その一部は我が国の九州、中国、北陸地方に達している様子が見られます。
図4 2013年3月19日のCAI画像(Path 6)(画像クリックで拡大)
(左:通常処理、右:画像処理により、海上の黄砂を見やすくしたもの)。
3月19日には朝鮮半島南部から対馬、九州北部、中国地方西部に黄砂が広がっている様子が見られます。気象庁によると翌20日には西日本だけでなく、関東、東北地方など幅広い範囲で黄砂が観測されたとのことです。
補足説明) 使用したGOSAT CAIデータについて
使用したGOSATプロダクト:CAI L1B+プロダクト(V01.00)
※2013年3月4日(月)~2013年3月15日(金)はGOSATデータ処理サーバの更新作業中のため、今回は通常とは異なるサーバを用いて臨時に作成したCAI L1B+プロダクトを利用しました。
機器名:雲・エアロソルセンサ(Cloud and Aerosol Imager, CAI)
観測日時:各画像の中心の観測日時は以下の通り。なお各画像の北端から南端までの観測
に要する時間は5分弱。
図2)(左)2013年2月22日 世界標準時05時30分(日本標準時 14時30分)
図2)(右)2013年3月9日 世界標準時05時31分(日本標準時 14時31分)
図3)2013年3月10日 世界標準時04時25分(日本標準時 13時25分)
画像処理:南北方向につながっている3つのCAI L1B+プロダクトを画像処理により1つのモザイク
画像(等緯度経度図法、WGS-84)にした。
画像表示:CAI バンド1(波長380 nm)を青、バンド2(波長674 nm)を赤、バンド3(波長870 nm)
を緑に割り当てて表示。
色の説明:黒~濃紺:海、緑:植生、白:雲または雪、黄色~黄緑色:黄砂、
薄黄色~黄色:雲の上空にある黄砂
CAI性能:解像度=500 m/画素、刈り幅(画像の横幅)=1000 km、
回帰日数(同じ場所を観測する間隔)=3日