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人類の産業活動の拡大に伴う化石燃料の大量消費によって、二酸化炭素の排出量がこの100年間に急激に増え、大気中の濃度が急速に増加しています(図3)。二酸化炭素は温室効果を有しており、濃度が増えると気温が上昇します。気温の上昇をもたらす温室効果ガスとして京都議定書の規制対象となっているのは、二酸化炭素のほかに、メタン、亜酸化窒素、ハロカーボン類などがありますが、二酸化炭素とメタンがこれらのガスによる温室効果の9割近くを占めています(図4)。温室効果ガスの増加は、単に気温の上昇をもたらすだけでなく、干ばつや洪水が頻発し、多くの被害を引き起こすことも懸念されています。

 

このため、国際社会は温室効果ガスの排出量を削減する方向に動き始め、気候変動枠組み条約の下で、1997年の京都議定書で先進国の削減目標が合意され、2005年2月に発効となりました。世界各国が温室効果ガス排出量の削減対策を進めるには、将来の気候変動とその影響の正確な予測に基づき合理的な削減目標を設定すると同時に、国別の排出量を正しく知り、各種施策の排出量削減効果を評価することが重要です。

 

[1] GOSATプロジェクトが目指すもの

地球、そして人類の健やかな未来のため、

世界規模での環境変化を見逃さず監視します。

 

「いぶき」(GOSAT)は地球温暖化の原因となる「温室効果ガス」の濃度分布を観測し、

プロジェクトでは二酸化炭素などの排出量削減への今後の貢献を目指します。

 

図3:大気中の主要な温室効果ガス濃度の変化(IPCC 第4次報告書より作成)

図4:主要な温室効果ガスの気温上昇に対する寄与率(1750年から2011年までの放射強制力最良推定値の比、IPCC第5次報告書より作成)

大気中の主要な温室効果ガス濃度の変化を表した折れ線グラフ
主要な温室効果ガスの気温上昇に対する寄与率を表した円グラフ

GOSATの第一の目的は、温室効果ガスの亜大陸スケール(数千km四方)での吸収・排出量(図5)の推定精度を高め、地域ごとの吸収・排出状況の把握や森林炭素収支の評価などの環境行政に貢献することです。さらに、GOSATデータの利用研究を通して、温室効果ガスの全球分布とその時間変動や、全球の炭素循環メカニズムとその気候変動影響などに関する新たな科学的知見の集積が図られ、気候変動予測と影響の評価に役立てられます。第二の目的は、これまでの地球観測技術を継承・発展させ、温室効果ガスの測定技術を開発するとともに、将来の地球観測衛星に必要な技術開発を行うことです。

地球観測衛星GOSAT「いぶき」から得られる全球の二酸化炭素の吸収・排出量分布の算出例の図

図5:全球の二酸化炭素の吸収・排出量分布の算出例。2012年2月(上図)、8月(下図)を炭素換算[gC/m2/day]で示す。

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人工衛星「いぶき」GOSATのCG画像