2015年6月にリニューアルオープンした茨城県つくば市にある筑波宇宙センター展示館「スペースドーム」で「いぶき」がどのように展示されているか取材してきました。館内のみどころもまじえて、ご紹介します!
スペースドームの詳しい情報はこちらへ(「ファン!ファン!JAXA!」の紹介ページへ)
2015.12.21
トピックス一般の方向けニュース

スペースドーム取材・「スペースドーム」でいぶきに出会う

入ってすぐ左側に注目!
「マモルホシ」でいぶき発見

東京ドーム12個分も敷地があるという「筑波宇宙センター」。正面玄関から入ってすぐ左に向かうと「スペースドーム」が見えます。既に何度も行ったことがあるという方も多いのではないでしょうか。2015年6月にリニューアルしてさらに展示がパワーアップ。日本の宇宙開発を進めてきたJAXAの歩みと取り組みの現状がわかりやすく紹介されています。そのまま見学しても楽しい「スペースドーム」ですが、「いぶき」を探すという視点で見学してみると、また違った面白さが出てくるかもしれません。さあ、出発!

「スペースドーム」に入るとすぐ左手にインフォメーションが見えます。その一つ奥にある大きなディスプレィに地球の周りを回っている人工衛星たちが映っています。これが「マモルホシ」。この中で「いぶき」を早速見つけました。「いぶき」が中央付近に飛んでいるのがわかりますか(下写真参照)。

この「マモルホシ」、なんとモーションセンサーが搭載されているのです。ディスプレーの前で手をひろげると自分の手に反応して、クリックができるようになるのです。早速「いぶき」を見つけてトライ!

ただ、モーションセンサーはコツを掴まないと上手く動かすのがなかなか難しいですよ。手を大きく広げたり前に後ろにいったりと調整してみましょう。

無事「いぶき」をタッチできました。すると「いぶき」の詳細説明の画面になります。詳しい説明が展開されます。
「いぶき」が観測した二酸化炭素の濃度分布も映しだされます。これだけ大画面で見ると迫力があります。(WEBサイトはこちら) 二酸化炭素の濃度分布シュミレーションも大画面だとよりわかりやすく伝わりそうです。(WEBサイトはこちら)
二酸化炭素の濃度分布シュミレーションも大画面だとよりわかりやすく伝わりそうです。(WEBサイトはこちら)

「マモルホシ」はモーションセンサーでタッチして終わるだけではなく、詳細な説明を見ることができます。「いぶき」が太陽同期準回帰軌道を周回していく様子の動画も映されます。もちろん「いぶき」だけではなく「マモルホシ」で見られる他の人工衛星を全てタッチすれば、日本の人工衛星についての知識がかなり鍛えられそうです。「マモルホシ」の「いぶき」情報を見て大満足したところで、さあ、先へと進みましょう。

やっぱり実物大模型は、はずせない!
実物大模型で知る「いぶき」の姿

この正面側が、実際は地球の方を向いている側です。重要なセンサもこの側面についています。上部にある黒い装置が「フーリエ干渉計」です。

少し奥へ進むと「人工衛星による宇宙利用(挑戦の歴史)」エリアに入ります。こちらは技術試験衛星「きく」シリーズを軸とした宇宙開発の歴史をたどり「きく」から積み重ねてきた数々の成果を紹介しています。ちなみに宇宙開発事業団の初の人工衛星であった技術試験衛星I型「きく」(ETS-I)は、1975年(昭和50年)に種子島宇宙センターから打上げられました。このエリアでは人工衛星がどのように発展してきたかを見ることができ、これが現在の衛星に生かされていることを考えると、大変感慨深い展示です。

そしてさらに奥へ進むと「人工衛星による宇宙利用(地球観測)」エリアに到着。ここで、いよいよ「いぶき」の実物大模型と出会います!太陽電池パドルは折りたたまれていますが、それでも実際に目にすると大きいですね。これと同じ大きさの「いぶき」が今もまだ地球の軌道を回って働き続けているのです。

実物大模型の周辺には、見逃せない展示がまだまだあります。「いぶき」の実物大模型の横に雲・エアロソルセンサ"TANSO-CAI"によるクイックルック映像を映したディスプレイがリニューアルオープンに合わせて新しく展示されています。これは実際に「いぶき」が取得した数時間前の画像が映しだされています。(こちらの展示についての詳しい説明は、本企画と連動した「JAXA久世氏へのインタビュー記事」をご参照ください)

他にも「いぶき」に関する情報がこのエリアに集まっています。ぜひじっくりご覧ください。

リニューアルオープンの注目展示 「きぼう」日本実験棟の実物大モデル

→宇宙服は小さな宇宙船のようなもの。重さは120kg。約8時間、過酷な環境である宇宙空間において活動ができるようになっています。今なら油井宇宙飛行士の等身大パネルと一緒に撮影できますよ(2015年11月取材時)。

「いぶき」が展示されている「人工衛星による宇宙利用(地球観測)」エリアから進むと、「有人・宇宙環境利用」エリアへ。ここでは、なんといっても国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟の実物大モデルが人気です。よりリアルになった実物大モデルの中に入れば気分は宇宙飛行士です。 通気口から風が吹いたり、またロボットアーム制御ラックからは、実際に「きぼう」に滞在していた若田宇宙飛行士と筑波宇宙センターの管制室とのやりとりが映像と音で流れ、臨場感を増しています。「きぼう」実物大モデルの中で宇宙飛行士の気分を満喫したら「顔出し宇宙服」での記念撮影もお忘れなく!(下写真)。

軌道を切り口とした新展示
オービタルビジョン

「だいち」が撮影した筑波宇宙センター上空の画像が広く映しだされます。床に映っているので、自分が人工衛星になって地球を見下ろしているような気分になれるかも。

さあ「スペースドーム」見学も大詰め。 床に映される大型映像により、軌道での宇宙機の動きをリアルに紹介する「オービタルビジョン」。解説パネルなどではなかなかイメージがつかみにくい軌道上でのロケットや人工衛星の動きや、観測データがどのように暮らしに役立たれていくのかが、わかりやすく映し出されます。 人工衛星はどこを飛んでいて、何をしているのか。人工衛星の目的によって、どういった軌道をとるのか。簡単なようで難しい軌道の話ですが、オービタルビジョンでなら子どもでも楽しく見ることができるようになっています。 ますます充実していく「スペースドーム」にこれからも期待したいですね!

筑波宇宙センター展示館「スペースドーム」

〒305-8505茨城県つくば市千現2-1-1
(その他の詳しい情報はこちらをご覧ください。

Quiz! いぶきを探そう。
答え合わせ

みなさん、2箇所の「いぶき」は見つけられましたか? 答えは下写真の赤い丸で囲んだ部分です。

1番は実物大模型。「いぶき」かどうかは黒く映っている「フーリエ干渉計」が目印です!
さて、2番。あまりに小さくてわからなかった人が多いのではないでしょうか。

番を拡大するとこんな感じ!(←)。
入り口を入ってすぐに目に入る美しいブルーをした地球。これは「ドリームボート」という100万分の1スケールの地球模型。ここには、宇宙ステーションや人工衛星の小さな模型が付けられていて、この2番はそこに付いた「いぶき」のミニチュア模型なのです。見つけられるとちょっと嬉しい気持ちになる、小さくて可愛い「いぶき」です。写真では見つけられなかったという方、ぜひ現地で探してみてくださいね。

実はこの「ドリームボート」の近くに立って天井の方を向くと、なんと準天頂衛星「みちびき」がぶらさがって飛んでいるんです。ぜひ現地にてこちらも探してみてください。人工衛星の軌道は様々で、たとえば「いぶき」は高度約666km(ほぼ東京〜広島の距離)の軌道ですが、「みちびき」はなんと高度30,000km以上の軌道を回っています。「ドリームポート」の縮尺では、本当はもっと高い位置になるのだとか。こまかな遊びココロある仕掛けが沢山の「スペースドーム」。何度でも通ってしまいたくなりそうです。(2015年12月18日掲載)

(取材・撮影・文 石沢 香織)

展示について「いぶき」についてJAXA久世氏が思いを語る。こちらもぜひご覧ください。