「いぶき」の観測したデータの解析結果は、順次ギャラリーに掲載されますが、全球の濃度分布の全体傾向を掴むためのレベル3プロダクトの作成も進めています。レベル3プロダクトは、月別の濃度分布図として提供されます。
この図は、2009年6月〜7月の「いぶき」観測データに基づく二酸化炭素カラム平均濃度データから統計的手法により求めた2.5度メッシュ内の陸域の二酸化炭素濃度の2ヶ月平均値推定マップです。この手法では、解析データが得られなかった地点であっても近傍に観測点があれば、そこの濃度値を補間推定する統計的な手法(レベル3プロダクトを作成する際に用いる手法)を用いています。ただし、250kmの範囲に「いぶき」の解析データが1点も得られなかった地点については、推定値の信頼性がかなり低いため白地で表示しています。陸の白地の領域は、観測時期を通して観測視野内に雲があった領域や、太陽高度の低い領域、太陽光の地表面反射率の低い領域などです。
解析結果からは、南半球よりも北半球の高緯度地域のほうが二酸化炭素濃度の低い傾向が示されています。これは、6〜7月は北半球が夏であるため、南半球よりも北半球のほうが植物の光合成が活発であるためと考えられます。
なお、アフリカ大陸やアラビア半島に見られる高濃度には砂漠の砂塵などの影響により、また、アフリカ、スカンジナビア、アマゾン周辺の低濃度には薄い雲などの影響により、系統的な誤差が含まれている可能性もあります。このため、より信頼性の高い結果を提供するための研究が進められています。