最新の月別二酸化炭素全大気平均濃度
2024年10月
421.3 ppm
最新の二酸化炭素全大気平均濃度の推定経年平均濃度値(注1)
2024年10月
422.0 ppm
過去1年間で増加した二酸化炭素全大気平均濃度(年増加量)(注2)
2024年10月-2023年10月
3.1 ppm/年
(注1) 観測値から平均的な季節変動を取り除いたものが推定経年平均濃度です。ある月の推定経年平均濃度値はその前後半年の1年間の平均値とほぼ同じ値を示します。なお、新たに月平均濃度値が追加されると季節変動が変化し、過去の推定経年平均濃度値が微妙に変わることがあります。
(注2) 年増加量とは、推定経年平均濃度の1年間の増加量のことを言います。
温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT ゴーサット)は、環境省、国立環境研究所(NIES)及び宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共同で開発した世界初の温室効果ガス観測専用の衛星であり、平成21年1月23日の打上げ以降、現在も観測を続けています。
グラフは、「いぶき」観測データを使って、地上から上空までの「地球大気全体(全大気)」の二酸化炭素の平均濃度を算出した結果を示しています。月別平均濃度(グラフ上の赤い点)は季節変動をしながら年々上昇している様子がわかります。さらに(注3)推定経年平均濃度(グラフ上の黒い点)は単調に上昇している様子がわかります。地球温暖化の主要因の一つである地球大気中の二酸化炭素濃度を考える際には、推定経年平均濃度とその増加量が重要な指標となります。
(注3)推定経年平均濃度:季節変動を取り除いた2年程度の平均濃度値
なお、ここでの数値は速報値であり、今後詳しい検証によって変更される可能性がありますのでご注意下さい。
全大気における⼆酸化炭素濃度の月別平均値と推定経年平均濃度
全球・月別濃度の変化の様子がわかります。
「いぶき」による温室効果ガス観測の特徴とその意義
世界気象機関(WMO)を含む世界のいくつかの気象機関では、これまでも地表面の各地の観測地点や、それらのデータを用いて算出した地上での全球平均濃度を発表してきました。しかし、二酸化炭素は高度によって濃度差があるために、地上観測点だけの濃度データでは地球大気の全体濃度を表しません。これに対して「いぶき」は二酸化炭素の地表面濃度ではなく、地表面から大気上端までの大気中の二酸化炭素の総量を観測できます。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書において予測されている将来の二酸化炭素濃度は「全大気」の平均濃度であることから、今後の温室効果ガスの増加による地球温暖化のリスクを算出・予測する上では、地球全体の温室効果ガスの平均濃度の算出が重要であり、上空の大気まで含めた「全大気」の平均像を把握することが不可欠です。
「いぶき」による「全大気」月別二酸化炭素濃度の観測成果
そこで、平成21年4月以降の「いぶき」観測データを用いて「全大気」の二酸化炭素平均濃度を算出したところ、月別平均濃度は北半球の植物の光合成が活発になる北半球の夏に下がり、光合成が弱くなる北半球の冬に上がる季節変動を経ながら年々上昇する様子が現れました。また、季節変動を取り除いた推定経年平均濃度(注4)は単調に増加しています(注5)。ただし、衛星で観測できる地域は、太陽高度が高くかつ雲のない特定の地域に限られるため、算出した「全大気」の濃度は、「いぶき」の観測データに基づきモデル的手法を用いて推定した結果です(注6)。上図のグラフは、「全大気」月別平均値とそれに基づいて算出した推定経年平均濃度を示しています(注7)。このようにして算出された濃度は、地表面の平均濃度より1~2 ppmほど低い結果となっています(注8)。
(注4)⼆酸化炭素濃度は1年の周期を持つ季節変動をしていますが、地球⼤気の⻑期的な変動を論ずるには季節変動を取り除いた2年程度の平均濃度値を⽤いる必要があります。このため、観測濃度から平均的な季節濃度変動を取り除いた平均濃度を算出しました。本⽂中では「推定経年平均濃度」と記していますが、 科学的には経年トレンド濃度と呼ぶべきものです。この値は、その前後半年の1年間の平均値とほぼ同じ値を⽰します。
(注5)全⼤気中の月別⼆酸化炭素濃度の算出に使用したGOSAT FTS SWIRレベル2 CO2カラム量プロダクトのバージョンについては、グラフ数値データファイルのヘッダ部分を参照してください。
(注6)算出に関わる詳細については、下記の「関連資料ダウンロード」に記載しました。
(注7)平成27年1⽉は機器の調整のため、観測データが取得されていません。
(注8)⽶国海洋⼤気庁が観測した地表⾯での⼆酸化炭素全球平均濃度の⽉平均値は2015年3⽉にすでに400 ppmを超えたと報じられています。
参考URL: http://research.noaa.gov/News/NewsArchive/LatestNews/TabId/684/ArtMID/1768/ArticleID/11153/Greenhouse-gas-benchmark- reached-.aspx
【本件問い合わせ先】
国立環境研究所 衛星観測センター GOSATプロジェクト 電話: 029-850-2966
関連資料等ダウンロード
・「いぶき」の観測データに基づく全⼤気中の⽉別⼆酸化炭素濃度算出⽅法について
・ グラフ数値データ
・「いぶき」の観測データから推計した二酸化炭素濃度シミュレーション(2009/6 - 2015/10)
GOSATプロジェクトは国立環境研究所、宇宙航空研究開発機構、環境省が共同で推進しています。
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